望夫成龍

望夫成龍 (1990)

原題:: 望夫成龍

英題:: Love is Love

キャスト:: 周星馳, 呉君如, 成奎安, 胡楓, 王敏德

スタッフ:: 梁家樹 (導演), 鄧特希 (編劇), 劉鎮偉 (監製)

ストーリー

父親（成奎安）の反対を押し切り、駆け落ち状態で結婚することとなったタイ（呉君如）とスイ（周星馳）。２人は親元を離れて、香港の中心街へと渡った。お金がなく、住まいは狭いし貧しい生活ではあるが、愛さえあればやっていける。そう信じてタイはキャバレーで働きはじめる。当初なかなか職に就けなかったスイも、タイの一途でまじめなスイへの愛情を感じ、とある会社で働くこととなった。偶然知り合った社長の娘さんに見とめられ、みるみるうちに昇格していった。最初は小さな住まいだった２人だが、徐々にマンションへと引越しし、以前とは見違えるほど普通の生活が出きるようになって行った。最初結婚に猛反対していたタイの父親も、たびたび彼らを訪れるようになっていった。

しかし、昇格するにつれ、スイは会社にいる時間が増えて行った。また社長の娘と一緒にいる時間が増えていき、タイに誤解を受けるようになる。そんな時、シンガポールへの事業拡大のパートナーとして声をかけられたスイ。最初は断ったものの、タイの気持ちは仕事ばかりのスイから次第に離れて行った。そしてスイはシンガポール行きを決意した・・・。

感想

この映画のみどころは、なんといっても呉君如と周星馳の掛け合い。星爺映画には欠かせない女優として、この映画以降共演作が増える呉君如との絶妙なラブストーリーがみどころとなっている。冴えない女の子から、着飾ったクールな女性へと、呉君如の劇中の変身ぶりには驚くほど！それに輪をかけて周星馳の初々しいこと！(笑) ストーリーはわりとありふれており特に新鮮ではないが、出演者がみんな若いのでそれだけでも楽しめる。またシンチーが唯一出演した純粋なラブストーリーでもある。映画自体は初期の作品らしく、シリアスにまとまっているが、ところどころコミカルな演技が光るのは、その後コメディアンぶりを発揮する素質がちらほら・・・！？友情出演で、胡楓や單立文が出演しているが、この作品の後も数回共演することになる。

映画自体、荒削りな作品とは思わない。ストーリーもピュアだし、実際にありえる話なので共感が出きるからだろう。結婚する時は誰でも幸せな家庭を築いて行こうと心に誓うだろう。しかし、共に生活するにつれて、お互いの存在のありがたさを忘れがちになる場合がある。そしてそれを失った時、初めてその価値に気がつくのだが、その時はもう手遅れに・・・。恋愛に限らず、誰もが経験するこのような体験を表現している映画である。恋愛ではないが、私も大切な人を失って初めてその人の大切さを感じたものだ。誰かと接することほど人生にとって大切なことはないだろう。そしてその人がとても大切な人なのであれば、敬意を払い、お互いを尊重して付き合っていけたらと思う。この映画は非常にシンプルな映画だと思う。しかし、ちょうど私が最近経験したことがこの映画のテーマと重なって、予想以上に重みのある映画に見えてしまうのは、ある意味映画の面白さの一つなのだろう。