太后の姿に変身していた神龍教のロン（林青霞）だが、韋小寶（周星馳）らに正体を見破られ、一度は退散した。しかし、平西王の世継ぎ、インション（劉松仁）が皇帝に会うため、ロンは本来の姿で教主となって再び韋小寶の前に現れる。そこへ独臂神尼の弟子、リー・コ（李嘉欣）が韋小寶の命を狙いにやってきた。皇帝の座を狙うインションと、彼を守るロン、さらに独臂神尼のメンツと、大勢に命を狙われる韋小寶。そんな時、インションがチェンニン姫（邱淑貞）と結婚することが決まり、ロンの護衛が必要なくなったインションとフォン（任世官）は、ロンの暗殺を企てる。毒が盛られ、命を失いかけたロンだが、韋小寶と一夜を共にして解毒することを決意した。しかし神龍教主が男性と一夜を共にすると、神力の８０％が相手に伝授されてしまうのだ・・・。

陛下から天地会のチェンに近づけと命じられた韋小寶だが、何を隠そう、天地会の一員である韋小寶は二つの立場に板ばさみされてしまう。そこで韋小寶はそれを逆手に利用して、反逆者の平西王とフォン、そしてインションを成敗しようと試みた。

おなじみ、武侠小説の巨匠、金庸の原作を映画化したもの。この「鹿鼎記」は他にも梁朝偉主演でTVドラマ化されたこともある、金庸作品の中でも特に人気のある作品である。そんな中、これだけ豪華な出演者たちを贅沢に使いながら映画を作ってしまう王晶はさすがである。香港映画にありがちな、いきあたりばったりのストーリーでもなく、きっちりとプロットはまとまっている（それでもかなり複雑なのは、原作を忠実に描こうとした結果か！？）。それにしても、相変わらず舌を出して叫ぶチャウや、口から血を噴出して演技する林青霞や邱淑貞をみると、まじめに演技しているのだろうがどうしても笑ってしまう。子ネタも盛りこまれており、それを見つけるだけでも楽しめる作品になっている。

ちなみに大陸では、周星馳映画の中でこの作品が一番人気があるそうだ。最近では若者を中心に「西遊記」の爆発的な人気が騒がれているが、それをも凌いでしまうほどで、やはり周星馳の人気はもちろんのこと、金庸作品の人気の高さに驚かされてしまう。それにしてもほんと、この周星馳演じる韋小寶が小説にはどう描かれているのかが気になるところ。大陸で人気がある理由の一つとして、原作から受ける韋小寶のイメージと周星馳のイメージがピッタリ、というのが上げられているのだ。女たらしでいい加減な感じがする韋小寶だが、実際小説で描かれている彼もそのようなキャラクターなのだろうか。(笑)